
何を質問していいかわからない・・・。
沈黙の時間が怖くて、つい自分が聴きたいことばかり聴いてしまう・・・。
相談事を受けられたり、傾聴・カウンセリングのロールプレイトレーニングをされたことがある方であれば上記のような経験をされたことがあるのではないでしょうか?
私自身傾聴トレーニングに取り組み始めたとき、質問することはとても苦手でした。傾聴ロールプレイを2分もやると、相手の方に自由に話してもらえるような質問ができなくって沈黙の時間を作っていました。
傾聴トレーニングをされる方の中でも、この質問を難しく感じられる方は比較的多いです。
しかし効果的な質問をする力もトレーニングで必ず身につきます。
このページでは、「質問力を身に付けるために必要な事」を紹介します。
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効果的な質問とは
みなさんがもし友人知人から相談事を受け、「仕事のことでこの先どうしようか悩んでいる」と言われたとき、どんな質問が浮かんできますでしょうか?
「辞めようかどうか迷ってるの?」 という質問もできますし、
「どんなことで悩んでいるの?」 という質問もできます。
もちろん質問はせず、相手が言われたことだけを受け止めて聴くのも1つの対応方法です。
もしカウンセリングで、相談者が来られ「仕事のことでこの先どうしようか悩んでいる」とだけ言われて言葉が止まった時、「辞めようかどうか迷っているの?」という質問は、効果的ではありません。(この質問がダメという訳ではなく、初期の段階で適切でないだけです)
答えは簡単で、この状況では辞めようかどうか迷っているとは限らないからです。
検討違いのことを聴くのはお金を支払って下さっている時間の無駄ですし、「この人は私が問題と思っているけれども話しづらいことではなくて、自分が聞きたいことを聞く人なんだ」と感じられます。
そうなるとカウンセリング・相談において最も大切な「相手との信頼関係」が築けるどころではありません。信頼関係がない人には、自分自身が本当につらかったことは出せません。出ても軽い部分になります。
見当違いの質問が多いと、
- 「思っていること、感じていること自由に話せる」
- 「この人になら、自分の素が出せる」
とは感じてもらえません。
特に相談初期には、相手の方が自由に話せる質問が効果的です。
この場合だと、
「どんなことで悩んでいるのか、よろしければ詳しく教えて頂けますか?」
とお伺いすると相談者の方は、自由に話せます。さらに、効果的な質問にはポイントがありますので、それを紹介します。
効果的な質問のポイント
相談を受けたときには、まず相手の方が一番気になっていること、ひっかかっていることをお伺いし、さらにそれが具体的にどんなことなのか?を明確にしていくことが大切です。
例えば「会社の人間関係で悩んでいる」という相談を受けたとします。
- どんな人との人間関係で悩まれているのか?(上司?部下?同僚?すべての人?)
- その人と、どんなことで悩んでいるのか?(仕事のやり方?コミュニケーション方法?それ以外?)
- 具体的にその人にどんなことを言われたのか?(その時に相談者の方はどう対応されたのか?)
- その時にどんな気持ちだったのか?(気持ちを汲み取りながら質問していくと話しやすくなります)
質問でここまで明確にしていくだけでも問題解決の糸口が見えてくることも多々あります。
日常の悩み相談であれば、相談者の方も問題解決を望んでいる訳ではなく、自分の状況をわかって欲しい、我慢していた気持ちを理解して欲しい、ただ聴いて欲しいだけのことも多いです。
相手の方が思っていることを自由に話せる質問(オープンクエスチョン)をすると、相手の方は自分の話したいことを話せるだけ話していいんだなと思えます。自由に話せる質問だと、自分のことを尊重されているように感じられます。
私自身、傾聴技法は何かを押し付けたり決め付けるわけではなく、相手の方に自由に話してもらい、相手の方に自分自身が本当に感じていることや思っていることを見つめてもらうために使うものだと考えています。相手の方を尊重していることが形として現れる技法です。
ここまで効果的な質問のポイントについて紹介しましたが、さらにこの質問に答えてもらうためにはポイントがありますので、次にそれを紹介します。
丁寧に「受け止めてから」質問する
例えば
「上司が細かいことをいちいち言ってきてイライラする」
と言われたら、質問の前にまずイライラしている気持ちを、しっかりと受け止めてその気持ちを汲む言葉を伝えていくと、さらに深いポイント(どんな細かいことを言ってくるのか等)を質問しても話してもらえるようになります。
前述の、傾聴する態度、繰り返すスキル、気持ちの汲み方、そして質問は別々のものではなく、すべてつながっている関連したスキルです。
たとえどんなに適切な質問だったとしても、気持ちを汲み取らずにやると話し手の方は「話しても受け止めてもらえないな、無駄だな」と無意識のうちに感じられ、話す気がおきません。
話される内容は「きっちりと受け止める心構え」で質問する
聴き手にこの心構えがないと、無意識のうちに聴きたいことだけを聴く質問になりがちです。
というのも、「自由に答えられる質問・オープンクエスチョン」をすると、話し手は自由に答えられますが、裏を返せば聴き手にとっては「何を話されるか予測がつかない」わけです。ひょっとしたら受け止められないくらいもの凄いエグい内容を話されるかもしれません。そんなときは、その質問から出てくる答えが予測がつく質問をしがちです。
例えばカウンセリングの場面で、「仕事が見つからなくて困っている」と聞かれて、「どんな方法で仕事を探していますか?」と聴く感じです。
この質問だと返ってくる答えに予測がつきますので、質問する側としては安心感があります。しかし話し手が自由に話せる質問ではありません。
聴き手が聴きたいことを聴くのではなくて、話し手が問題と思っている点・話したいと思える点を質問することが傾聴時の質問するポイントになります。
話し手が問題と思っている点・話したいと思える点は、オウム返しを意識して使い、
- 会話(言葉)の内容
- 相手の方の目の表情や姿勢
- 声のトーン
感じながらを聴いていれば必ず見えてきます。
話したくない・話せないことは聴かない
特に会話の相手がご近所さんだと、聴かれたくないようなこともあるかと思います。
カウンセリングでなく日常生活であれば、質問は必要ない、アドバイスもしてほしくない、ただ話を聴いて欲しいだけという時もあると思いますので、そこは質問してみての話し手の方の様子から判断していくポイントです。
「その人自身」が浮き上がる質問
質問力をつけるためには、普段の生活で、どんな質問なら話し手の方がより言いたいことを話せるのか?を心がけていくと効果的です。
例えばもし仲良くなりたい人に何か好きなこと、趣味を聞いたとします。もしある漫画が好きなのであれば、
- その漫画のどんなところが好きなのか?
- どのキャラが好きなのか?
- 好きなキャラのどんなところが好きなのか?
- その漫画をどのくらい(期間や量)読んでいるのか?
といった点を質問すると、その人自身が今求めているもの、あこがれていることが見えてきます。
相手の喜びを作る質問のポイント
これはズバリ、「その人自身が頑張っている事、もしくは頑張ってきた事」です。人は自分が頑張っている事をわかってもらえたり、認めてもらえると嬉しいものです。
会話の流れの中でそれが見えてきたら、どのように頑張っているのか?(内容や期間等)、なぜそれを頑張っているのか?をさらに深く聞いていくと、相手の方への理解が深まるだけでなく、相手の方の喜びを作れます。
例えば、仕事や家事で自分が頑張っている事を、上司やパートナー等の大切な人にわかってもらえると、嬉しくないですか?
会話の流れの中で頑張ってきたポイントが見えにくければ、ストレートに聞くのもアリです。
この人の事をもっと知りたい!と思ったら、「今まで頑張ってきた事で印象に残っていることある?」と質問してみて下さい。
この質問の注意ポイント
2つあります。
- 頑張れない状態や状況の人もいるので、それを踏まえた上で聞く
- 「頑張ってないとダメ」という思いは持たずに聞く
のがポイントです。
あなたが今まで頑張ってきた事は何ですか?
カウンセリング・相談事を受けたときに大切な質問
カウンセリングは「問題解決のための会話」ですので、何が問題なのかを明確にしていくと納得感の強いゴールを作れます。そのためには、次の質問が効果的です。
「どんなことが一番大変でしたか?」
「どんなことが一番苦しかったですか?」
という質問です。
もちろん話し手が話せると思った時に質問していく必要があります。
カウンセリングでこの質問が大切なのは、2つの理由があります。
1番つらい事を聴く2つの理由
1 話すことで感情が浄化される
苦しいことやつらいことは、深ければ深いほど普段の生活で接し続ける身近な人には話しにくいものです。
自分の状況や気持ち話し、わかってもらうことで気持が楽になります。
2 納得がいくゴールを作れる
例えば「人間関係が苦しい」という人に、
「どんな人間関係を作りたいですか?」といきなり具体的な目標や未来を聴く質問しても、その人自身もその時点ではわからない、見えない、考えられないことがほとんどです。
本当に相談者の方が望む・納得がいくゴールを作るためには、現状のつらいことを見ていく必要があります。
なぜつらいことを見ていくと、本当に望んでいることが見えてくるのか。
例えば職場の人間関係で悩んでいるとします。
- 人間関係のどんなところが一番苦しいのか
- どの人との対応が一番嫌なのか
- どんなことを言われて、(されて)つらい気持ちになっているのか
- そのときの相談者の対応はどうなのか?
というつらいところを明確にすることで、具体的にどうすれば楽になるのかということが浮き彫りになってくるからです。
ただ、非常に話しにくいことですので傾聴技法が欠かせません。
そして、自分自身の苦しい・つらい体験をわかってくれている人が1人いるだけでも楽になれるものです。
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